天近最終回の話でもさせてくださいませ。
正直に言うと、今回、作品全体としては、めちゃめちゃ欠陥商品でした。特に、最終回、オフィシャルHPや脚本家HPで言い訳をしないとスタッフ側の意図通りに受け取ってもらえないっていう時点で失格。もちろん、ラストの解釈を見る側に押し付ける気ならばそれもよかろうが、あくまでスタッフ側は天童=天使の解釈をしているのであれば、なぜ、あんなあいまいな終わらせ方をしたのか?描かなくていい部分、いっぱいあったと思う・・・時間が足りないのなら、延長すればよし。きちんと伝える努力をせずに後からウェブ上で言い訳されても、全ての天近ファンがオフィシャルHPを見ているとはいえない現状なのだから、言い訳はむしろ見苦しいだけ。
それと、いくら和也をごまかすためとはいえ、1999年時の天童を一瞬でも精神異常者的に描いたのは、「天近」ファンとして、非常におさまりの悪いものを感じた。(だからこそ、救急車での別れのシーンでの天童の顔が、非常にさびしいものだった・・・というので、今、あのシーンを思い返すと泣けてくるのは事実だが。)
それ以外にも、最終回関係だけでも、大量に伏線が消化不良のまま残ってしまったし。「結局蜷川って誰?天童の上司?それともあれが神様?(ま、どの道天童といっしょになって、和也をだますために、3ヶ月前から芝居をうってたんだろうけど)」「四郎編で、天童の足の傷が、『天童は椎名さんの身体を借りていたんだ』という伏線になっていたはずだし、その後のSPでも、たびたび『(椎名さんの身体を)また借りた』という表現が出てきたにも関わらず、和也編のラストのラストで、『天童はもともとあの姿(昔の二枚目)だった』ことになっているが、椎名さんも、今回の蜷川と同じく、3ヶ月も前から四郎をだますためにはっていたただの伏線なのか?そうでなければ、四郎編最終回に出てきた椎名さん一家はなんだったのか?」「結局、福富はなぜ有栖川学園の支配にそこまでこだわったのか?動機がまるでなかったのでは?」・・・思いつくところでも、ざっとこれだけあるし。
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それから!最終回、学校の屋上で和也が飛び降りる必然性がまったく見受けられないのが非常に不満。スタッフ側のねらいとしては、第一話(すなわち、このストーリーの始まりであり、和也がリセット人間だったことの象徴でもある話)に再びオーバーラップさせ、この状況で、和也は当初のリセット人間から、すっかり「あきらめない」人間に変わったんだということを印象づけようとしたのだろうけれど、やはり、事前に周到な準備がなければ、トランポリン代わりの横断幕をあの場でとっさに用意することなんて不可能だし、そもそも、和也は、あの時点では3Bの生徒たちがあの横断幕を用意していたことは知らなかったはずだし・・・。これも完全に設定と矛盾してるよね?
それに、今回人物の描き方が非常に中途半端だった感も否めない。特に、丘先生やリンダ、清水先生等、結局どんなキャラなのかはっきりしないまま、出番もほとんどないまま終わってしまったし、3Bの生徒も、数人を除いて出番なし。少なくとも四郎編では、アレだけのキャラクターがいたにも関わらず、どのキャラクターもしっかり性格描写されていたよ。最初から描ききれないのがわかっていたら、無理に丘先生とか出さなくても良かったのでは?
それと、シリーズ通してのストーリーに、今ひとつまとまりがなかったのも事実。前作は、一つの命題を通して少しずつ四郎が変わっていく様子が見ている側に伝わってきたけれど、今回、和也に関しては、9話でほぼ唐突に変わった感は否めないし、その後も、和也の描かれ方が足りないところが多々あったように思われるし。特に10話は、あそこであゆみを主人公にした時点でダメダメの作品になってしまった。9話までで、和也が以前の「あきらめない」自分を取り戻したわけだけれど、底からさらに前進して、自分が変われただけでなく、他人を改心させることができるまでに成長したっていうことを(すなわち、あくまでも、和也の視点から)描かなければならなかったところだと思われるのに、視点があゆみに行ってしまった時点で、長期的なストーリーの視点がふらつき、シリーズを非常にまとまりのないものにさせていると思う。
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それに、全体的に、和也、しゃべりすぎ。って、別に口数がおおいってわけじゃなくて、もう少し心の中にとどめておいてもいいことを、余りにもストレートに言い過ぎ。おかげで、天童に対する和也の気持ちとか・・・視聴者が、和也の表情を見ながら彼の心境を察して感情移入するっていう過程がもてないため、今ひとつ、和也の深い感情まで入り込みづらかったと思う。あと、セリフも、四郎編から言いまわされたものが多かったし。確かに、「天近」シリーズを通して伝えたいメッセージは基本的に同じだろうし、その意味で、そのメッセージをのせる表現形式が似たようになってしまうのも、ある程度までは仕方ないが、少なくとも、前作から見ているものにとっては、同じことの繰り返しでは不満が残るだけだし。難しいかもしれないけれど、表現形式も進歩してほしかったんだよね。(だからこそ、逆にいえば、和也編ではじめて天近に触れた人にとっては、結構いい作品になったのではないか?と思うけれどね。)
と、とにかく、不満だけでも相当あります。・・・が、それは、「天近」シリーズを心から愛しているからであり、更なる前進を求めているからゆえなので。最終回も、一度見ただけでは、天童の正体がわからず、精神異常者的扱いによるショックのほうが上回ってて、正気を取り戻すのに1時間かかりました。でも、その間に、自分なりに解釈したり、ネット上でいろいろ意見見たりしていくうちに、やぱり、天童=天使ということを信じようという気になって、その視点でストーリーを振り返ったら、今度は比較的あのラスト(病院送り?のほうね)も受け入れられるようになったけれどね。そして、最後の最後で、あのまっすぐな道を二人で歩いていくシーンは、やはり来るものがありました。まだ大泣き状態には至らないけれど、他人にそのシーンを説明しようとして、言葉につまって泣いてしまったので。
それに、やはり、個人的に和也が大好きになってしまいました。スタッフ側の思惑に見事引っかかってしまったみたいでしゃくですが、感情のレベルからのみ言えば、四郎よりも惹かれるところがあるし・・。(って、四郎はめちゃめちゃ大好きなんですよ!! でも、四郎に対する好きと和也に対する好きって、ベクトルの方向が違う気がするの。)とにかく、改心話の前後、話数で言ったら6、7、8、9、11話は、非常にいい流れだと思ってる。6話でようやくスタートラインに立てて、7話で以前の自分を少しずつ思い出し、8話で、全ての事実を知り、一瞬全てのものを拒絶しようとするも、それらを全て受け入れ、もう一度昔の自分に生まれ変わる決意をし、9話で、そんな風に変わった和也が周りの人からどう受け入れられるようになったかが描かれ、11話で、再び挫折しかけるも、最後までリセット人間に戻らずにひとつのことをやりぬき、これで、生まれ変わった和也が、多分、もう、一生ダメ人間に戻らずに済むんだろうなという安堵感が見てる側に与えられ・・・ これだけ見ていると、本当にいい話だな・・って思いますよ<和也編
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最終回、最大の欠点は、余りにも多くのことを1話の中に詰め込みすぎた・・・ってことでしょう。これについても、まだまだ語り足りないけれど、今日はもう余り時間がないので、また改めて書きにきます。(っていうか、子供大人のための天近部屋作ります、たぶん。) この意見も、オフィシャルに伝えるつもりです(BBSで)。天近スタッフなら、苦言も、それがまっとうなものであれば受け入れてくれると信じてますし、反省なくして新しいシリーズなりSPは作れないでしょ? っていうか、私の頭のなかでは、もう、ちゃんと和也編でもつじつまがあう、再会の仕方、考えはじめていますよ。っていうか、ここまで能動的にストーリー考えたくなるのって、ほんとに数少ないんだよ。貴重なんだよ。とにかく、私にとって、天近は死ぬまで置き去りに出来ないほど大事なものであることには変わりないので、こんなことくらいでへこたれてはいられないっすよ!! ええ、がんばりますとも!! まってろ、天近!! 私が続きを考えてやるっ!!(って、余り期待しちゃダメよ^^;) |